36.8℃の微熱。
「はぁぁぁぁ〜」
もう一度ため息をついて、席から落ちるんじゃないかってくらいズルズルと沈み込んだ。
それからパカッと携帯を開く。
約1日ぶりに触る携帯は、うっすら傷が付いているけど懐かしい。
ディスプレイには、あたしが公衆電話からかけた着信履歴。
画面の左下で、確認して〜と言いたげにマークが表示されていた。
でも今は、それにかまってあげられる余裕がないのよ、あたし。
なんてったって・・・・。
【片桐柊】(カタギリ シュウ)
たいそうご立派な名前が登録されてしまったんだもの。はぁ。
横暴もここまで来ると、いっそ清々しい気分になるのはなぜ?
知るかそんなもんっ。
「江田ちゃんに限ってそんなことはないと思うけど」
渋々、申込書を取ったあたしに、先生は“けど”の部分を強調しながら意地悪く言った。
「も・し・ものことがあったら困るからねェ。赤外線ね」
それは、あたしが塾に入らずとんずらをこくってことらしい。
そうしたい気持ちは山々ですが。