36.8℃の微熱。
「そこまで」
先生のその声とともに、向き合っていた問題用紙から目を離し、シャーペンを机に置いた。
すると、気を抜いたそばから採点をはじめる先生。
そして、赤ペンを指の間で器用にクルクル回しながらこう言う。
「ちょっと下行って飲み物もらってきてくれる? そしたら江田ちゃんも休憩していいから」
「何かリクエストは?」
「なんでも」
「は〜い」
汗一つかいていないように見えても、なんせ今は真夏だもの。
ああ見えて実は先生、よっぽど喉がカラカラだっんだ。
いつも涼しい教室でばかり過ごしているから、扇風機だけの部屋はかなり堪えるはずだよね。
先生のグラスに氷、いっぱい入れてもらおーっと。
「マリアンヌさ〜ん、飲み物2人ぶん頼みたいんですけど〜・・・・」
一階に下りると、店内では掃除と料理の仕込みの真っ最中。
そんな中申し訳ないなと腰が引けつつ、マリアンヌさんに頼んで冷たい飲み物をもらった。
もちろん先生のグラスにはたっぷりの氷を入れてもらって、採点中の先生のところへいざ。