36.8℃の微熱。
 
すると。


「ちょーっと待ったぁぁぁ!!」


と、王子のストップがかかった。

・・・・だからさ王子、アナタそんなキャラじゃなかったでしょうよ。

いきなり目の前に現れたかと思ったら、グラスが乗ったお盆を奪い取ろうとすごい顔だ。


「なんでしょう、浅野君」

「なんでアイツのだけ氷たっぷりなんだよ。しかも茜に持って来させるなんて・・・・!」

「そんなこと言われても。あたし喉渇いてたし、ついでだよ」

「氷は?」

「それは、早く溶けてジュースの味が分からなくなればいいと思って。ちょっとしたイヤガラセ」


“暑そうだったから”なんて正直に言おうものなら、長いこと王子につかまってしまう。

そしたら先生に「カメ!」とか言われちゃいそうで、それが嫌で適当にウソをつくあたし。


「ふぅ〜ん。ならいいよ」

「ありがと。じゃあ、勉強の続きがあるからもう行くね」

「分かんないとこがあったら俺に聞いて!俺に!!」

「はいはい」


はふぅ〜、飲み物を取りに行くのも一苦労だわ、こりゃ・・・・。
 

< 212 / 555 >

この作品をシェア

pagetop