36.8℃の微熱。
「相変わらず激しいな、オカン。まだ死んでねーっつの」
「だねぇ・・・・」
仏間に駆け込んだお母さんを見てお兄ちゃんと苦笑いをこぼす。
おっかないお母さんだけど、こういうところはかわいい。
とにかくお父さんが大好きで、何かあるたびにチーン!ってする。
「で、どういう風の吹き回し? 塾なんてもうコリゴリだったんじゃねぇの?」
「あー、うん。話せば長くなるから後でね。てか、そろそろハンバーグ食べていいかな?」
「いーんじゃね?」
お母さん、一度仏間に入ったらなかなか出てこないんだ。
一応お兄ちゃんに許可をもらい、やっとハンバーグに箸をつけた。
お父さんは今、単身赴任で大阪にいて、たまにエセ大阪弁で電話をかけてきたりする。
のほほん系のお父さんだから、お母さんは必然的に厳しくなったのかもしれない。
小さい頃はとにかくお母さんが怖かったけど、ちょっと大人になった今は、なるほど、と納得することが多くなった。
お母さんの気質を受け継いだのはお兄ちゃんで、お父さんの気質はあたしだ。