36.8℃の微熱。
「なーんかうまくハメられたみたいだけど、一石二鳥じゃね? 前にも一度習った先生なんだ、教え方は熟知してるんじゃん?」
一通り話し終わり、少しだけ胸のつっかえが取れた気がした。
するとお兄ちゃんは、そう言う。
「確かにねぇ。そういうふうに考えられなくもないけど・・・・」
「なんか不満か?」
「不満とかじゃなくて、なんていうか、こう・・・・」
「はっ!? まさか好きとかか!?」
先生の横暴っぷりをできるだけ忠実に表現しようと頭をひねっていると、とんちんかんなことを言いだすお兄ちゃん。
あたしは慌てて否定する。
「んなバカな!大っ嫌いです!」
「じゃあ、なんだよ」
ハァとため息をつくお兄ちゃん。
なんも問題ないじゃん、という目であたしを見下ろしてくる。
「とにかく鬼なの、悪魔なの!一緒に携帯探すふりしてさ!返す代わりに塾に入り直せって、どんだけ俺様なんだか!」
「へぇ〜」
「あたしの放課後はもうないんだってさ!横暴すぎるよ!」
「まぁなぁ。そりゃそうだ」