36.8℃の微熱。

癒しの王子様

 
次の日は、予定していた電車に乗ることができた。

ムカムカしすぎて興奮状態だったのか、目覚めはバッチリ。

早起きのあたしをお母さんは褒めてくれたけど、正直あんまり嬉しくなかった。


1本違うだけでだいぶ違う電車事情に多少驚きながら学校へ向かうと、1―Cの教室はまだ半分も埋まっていなかった。

そこがあたしのクラスだ。


「おはよう」

「おはよー」


と控えめにあいさつをしながら自分の席に腰を下ろす。

朝の光があたしの机にひだまりを作っていて、昨日、友だちになろうと言ってくれたユカちゃんの机も同じひだまり。

彼女はまだ来ていないみたい。


「携帯は見つかった?」


何をするでもなくぼーっとしていると、隣から声がかかった。

はっとして声の主に目を向ければ“爽やかイケメン”風の男の子。

あたしを見て、いかにも爽やかな感じでニコッと微笑んだ。


「あー、うん。・・・・ご迷惑をおかけしました。あは」

「そう。見つかってよかった。あれだけ机にぶちまければ誰だって気になるよ。で、どこで?」
 

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