36.8℃の微熱。
「いやいや。なんでおでこ? キン肉マンじゃないんだしさ」
「・・・・」
「あ、知ってる? キン肉マン。おでこに肉って書いてあんの」
爽やかイケメン君が笑った。
あたしの勝手な印象は、彼はあんまり笑わなさそうなイメージ。
だったから、急にあどけない表情で「キン肉マン」って笑うそのギャップに驚いてしまった。
「うん。知ってる。タラコ唇の海パン男・・・・だよね?」
「そうそう。よく知ってるね。けっこう古い漫画なのに」
あたしのキン肉マン似の驚き方が相当ツボだったのか、まだ笑う爽やかイケメン君。
目の端に涙まで浮かべちゃって。
なんだか勝手に楽しそう。
「あたし、6つ離れたお兄ちゃんがいてね。それ読んでたから」
「へぇ〜。お兄さんもいるの」
「うん。大学3年」
勝手に楽しそうだけど、でも、少し挽回できた気分で嬉しい。
昨日話したのはユカちゃんだけだし、中学の友だちはみんな違う高校に行っちゃったし。
友だちができなかったら・・・・思っていたから、それだけで嬉しい。