36.8℃の微熱。
けれど。
傘もささずに黒丸から飛び出してきた先生は、こうして話している今もずぶ濡れになっていく。
髪も顔も、腕も足も、寝起きのまま黒丸を走らせたんだろうTシャツもジャージの短パンも・・・・。
「はい、先生。風邪引くから」
そう言って、あたしは「電池切れってなんだよ、今どきの女子校生かよコイツ」とブツブツ文句を言う先生の頭の上に傘をさした。
暗くなると雨の温度も下がってくるから、直接雨を受ける先生の体温はあたしの比じゃないくらい簡単に奪われるはずだもん。
あたしを探しに来たために先生のほうが風邪を引いてしまったんじゃ、それこそ申し訳ないから。
先生の頭上に届くよう、背伸びをして傘をさした。・・・・のだけど。
「へぶっ!!」
ずっと立ちっぱなしだったからか雨で体が冷えきっていたからか。
たぶん両方のせいなんだろうけど・・・・踏んばりがきかなくて倒れ込んだのは先生の胸板。
そこに思いっきり鼻をぶつけてしまって、思わず変な声が出た。
「江田ちゃん、大丈夫!?」
「は、はぃ〜・・・・」