36.8℃の微熱。
 
「ま、そういうコトだから。家に帰れなくて残念だろうけど、今日は江田ちゃん、家なき子ね」


そう言うと、先生は今まで腰掛けていた椅子から立ち上がった。

・・・・と思うと、思い出したように「あ」と呟いてまた座り直す。

なんだよ、せわしないな。


「そうそう、寂しかったら添い寝してあげるって言うの忘れてた。で、江田ちゃんのご希望は?」

「はぁっ!? 添い寝!?」

「大丈夫だって。俺、江田ちゃんと一緒に寝ても興奮しないから」


いやいやいや。

そういう問題じゃなくない?

好きな人に興奮してもらえないのは女子として切ないけど、その前に“先生と生徒”なワケでしょ?

そこは“モラル”ってものがあるでしょ、モラルってものが。

・・・・それにあたし、ちょっと興奮しちゃうかもしれないし。


「もぉー、最低!! 添い寝は小さい頃に卒業したんです!だからいいっ!1人で寝れるっ!!」


そう言って、あたしは先生の顔に枕を思いっきり投げつけた。

モラル云々より、一緒だとドキドキして眠れないあたしの問題だ。
 

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