36.8℃の微熱。
もうっ!!
これだから先生は!
あたしは冗談を冗談として受け取れない人間なんだから、長いつき合いならそこんとこ察してよ!
先生に体を見られただけでも、こっちはもう今にも発火しそうなくらい恥ずかしいんだからっ!!
そのあと・・・・。
案の定「冗談も通じねぇのかよ」と先生に枕を突き返されたあたしは、それをひったくって頭のてっぺんまで布団をかぶった。
きっと赤いだろう顔をこれ以上見られたくないからと、早急に思い出したいことがあった。
そのための苦し紛れの精神統一。
先生はさっき、あたしんちが留守だったと言っていたけど、お母さんがいないはずはないと思うの。
お兄ちゃんはきっと、この雨だから誰か友だちのところにでも泊まるんだろうけど。
でも、お母さんが家を留守にする理由がなかなか思い出せない。
「うーん・・・・」
留守、留守、留守。
お母さん、どこかに出かけるって言っていたっけ? 行くならどこだろう・・・・あー、ダメだ。
こう頭がガンガン痛いんじゃ思い出せるものも思い出せやしない。