36.8℃の微熱。
 
最悪、即「ゴメン」ってフラれるところまで考えていただけに、一瞬で頭の中が真っ白になる。

何度フラれても諦めるつもりなんて最初からないんだけど。

でも、そう来るとは・・・・。

すると先生は、きっとすごい顔で呆けているだろうあたしを見てクスッと笑い、言葉を続ける。


「江田ちゃんの“好き”は恋愛対象としての“好き”でしょ? 嬉しいじゃないのさ、男として」

「・・・・」

「気持ちはしっかり頂きました。んじゃ、そういうコトで。まだ万全じゃないんだからもう寝な、俺は向こうのソファーで寝るから」


おやすみ。

そして、空になった食器とコップを持って部屋を出ていった。

残されたあたしはといえば、風邪なのに叫んだり頭を使ったり告白したりで・・・・パタリ。

先生が部屋のドアを閉める後ろ姿を最後に、疲れ果ててそのまま夢の中へ旅立ってしまった。


家に誰もいない理由も、お母さんに何かを頼まれていたことも。

思い出さなきゃと頭の隅では思うのだけど、体が許さなくて。

結局、朝まで眠ってしまった。





 

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