36.8℃の微熱。
人間のエゴ以外の何物でもないけれど、少しでも謝罪の気持ちを伝えたくて、伝わればと思って。
でも、相当お怒りの様子のあんこはあたしの腕の中で暴れまくる。
そして。
「あっ!待って!」
とうとう腕を逃れて、完全に閉まっていなかった玄関から外へ逃げ出してしまった。
あたしも慌てて追いかけるけど、病み上がりの体は言うことを聞いてくれなくて・・・・ドサッ。
玄関のわずかな段差に足を取られてしまい、派手にコケた。
あんこぉー!カムバーーック!!
すると・・・・。
コケて目線が低くなったあたしの前に大きな足がニュッと現れた。
そこから上へ上へと頭を持ち上げていけば、見えてきたのはあんこをしっかり抱いた先生の顔。
「ちょっと江田ちゃん。キミはまた、一体何やってんの。あんこが飛び出してきたんだけど」
「あ、すいません・・・・。お母さんは大阪に行ってて、お兄ちゃんは帰ってなくて。あんこを一晩、1人ぼっちにさせちゃいました」
「それで留守で、あんこは怒って家出かぁ。気が回らなかった俺も悪いな、そりゃ」