36.8℃の微熱。
 
そう言うと、先生はあんこを片腕に持ちかえ、もう一方であたしの腕を引いて体を起こしてくれた。

ホント助かったー・・・・。

先生がまだ近くにいて。


「ほら、もう逃がすなよ」

「はい」


そうして再びあたしの腕の中に戻ったあんこは、諦めたのか何なのか・・・・今度はおとなしい。

まぁ、あんこも一応女子だから。

男の人に抱き上げられた直後で、ポッとなったのかもしれない。

その証拠といってはなんだけど、先生を見てしっぽをフリフリ、しおらしく振っている。


はっ!まさかなのか!?

あんこも先生に恋しちゃった!?

犬をも惚れさせる力があるなんて先生は一体何者なんだろか・・・・。


「おー、あんこは俺が好きか!そうかそうか、俺も好きだぞ」


と思っていると、先生がそう言ってあんこの頭を撫ではじめた。

しゃがみ込んであんこに顔を近づけて、そりゃもうニッコニコで。

けれど。


「でもなぁ、あんこ。江田ちゃんもいろいろ大変だったんだぞ? 倒れちゃったんだ。だからそう怒ってやるな。な?」
 

< 376 / 555 >

この作品をシェア

pagetop