36.8℃の微熱。
そう言うと、先生はあんこを片腕に持ちかえ、もう一方であたしの腕を引いて体を起こしてくれた。
ホント助かったー・・・・。
先生がまだ近くにいて。
「ほら、もう逃がすなよ」
「はい」
そうして再びあたしの腕の中に戻ったあんこは、諦めたのか何なのか・・・・今度はおとなしい。
まぁ、あんこも一応女子だから。
男の人に抱き上げられた直後で、ポッとなったのかもしれない。
その証拠といってはなんだけど、先生を見てしっぽをフリフリ、しおらしく振っている。
はっ!まさかなのか!?
あんこも先生に恋しちゃった!?
犬をも惚れさせる力があるなんて先生は一体何者なんだろか・・・・。
「おー、あんこは俺が好きか!そうかそうか、俺も好きだぞ」
と思っていると、先生がそう言ってあんこの頭を撫ではじめた。
しゃがみ込んであんこに顔を近づけて、そりゃもうニッコニコで。
けれど。
「でもなぁ、あんこ。江田ちゃんもいろいろ大変だったんだぞ? 倒れちゃったんだ。だからそう怒ってやるな。な?」