36.8℃の微熱。
 
そして、そのままブィーン・・・・。

特大で複雑な謎を残し、あたしの前から走り去っていった。


「・・・・はあぁぁぁっ!?」


もちろんあたしはそう言うほかはなく、朝の住宅街にキンキン響く大声を張り上げただけ。

あんこを抱いたまま、しばらくは黒丸が走り去っていった方向をただ眺めているしかなかった。


先生が何を言いたいのか、まったくもってちんぷんかんぷんだ。

あたしの“好き”はどうやら先生に伝わったらしいけど・・・・その先生が言ったことが分からない。

気持ちはしっかり頂いてもらえたようで、あんこは恋愛対象外だから張り合わなくてもいい、と。


でも、先生の気持ちって?

“男として嬉しい”とは言ったけど“片桐柊”としてはどうなの?

そこら辺が分からない。


「朝っぱらからなぞなぞ!?」


やめてよね!

中途半端に言ってあとは逃げるとか、そういうタチの悪いことっ!

あたしは、昨日今日で先生との距離をぐっと縮められたんじゃないかと思ったけど・・・・えっ?

縮まったのはあたしだけ?
 

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