36.8℃の微熱。
話したいことがあるんだ、そう、ひどく真剣な顔で王子は言う。
あたしに話したいことといえば、やっぱり“アレ”しかないよね。
ずっと避け続けていた理由、あんこのことがキッカケで決定的になったあたしの気持ち・・・・。
きっとそう。
「・・・・うん、分かった」
「じゃあ、昼休み、図書館で」
「うん」
いよいよなんだ。
そう思うと、底知れない緊張と申し訳なさで直接心臓をつかまれたみたいに胸が苦しくなる。
バクバク、バクバク。
昼休みはまだ先なのに、今から心臓がぎゅーっと締めつけられた。
そんなあたしたちの様子を見ていたユカ様は、軽く微笑んだあと。
コロン、コロンと王子とあたしの机にそれぞれ飴玉を転がした。
それから。
「梅味。青春は酸っぱいもんって相場が決まってんの。甘いのなんて、ほんのちびーっと」
そう言って、ちょうど教室にバンビが入ってきたため、すぐに前を向いてしまった。
バンビが出席を取る間見つからないように飴を口に入れると、中に広がるのはやっぱり酸っぱい味。