36.8℃の微熱。
 
「酸っぱいなぁ・・・・」


青春ってホント酸っぱい。

止まらない涙を何度も何度も拭いながら、鼻をすすって上を向く。

もっと楽しくてキラキラしたものが青春だと思っていたけど、実際は少し違うみたい。

酸っぱくて痛くて、でもあたしにも譲れない想いがあって・・・・こうして傷つけたくない人を傷つけてしまうこともある。


「甘いのはちびーっとかぁ。きっとそうなんだろうなぁ、酸っぱいことのほうが断然多いや」


ユカ様もうまいことを言うよ。

あたしもそう思う。

甘いのなんてほんの一握りで、でもみんなその“一握り”になりたくて頑張っている。

ユカ様も王子も、あたしも。

あたしはそんな“一握り”に、あの俺様魔王に振り向いてもらうことができるだろうか。


「あー、キツいー・・・・」


辛いのは王子のほうなんだから王子の前では絶対に泣かない、そう決めて話しをしに来たけど。

これ、ギリギリセーフって思ってもいいかな。ていうかセーフじゃないと困るな。

だって、泣くところを見せられないのはあたしも同じだから。
 

< 389 / 555 >

この作品をシェア

pagetop