36.8℃の微熱。
「酸っぱいなぁ・・・・」
青春ってホント酸っぱい。
止まらない涙を何度も何度も拭いながら、鼻をすすって上を向く。
もっと楽しくてキラキラしたものが青春だと思っていたけど、実際は少し違うみたい。
酸っぱくて痛くて、でもあたしにも譲れない想いがあって・・・・こうして傷つけたくない人を傷つけてしまうこともある。
「甘いのはちびーっとかぁ。きっとそうなんだろうなぁ、酸っぱいことのほうが断然多いや」
ユカ様もうまいことを言うよ。
あたしもそう思う。
甘いのなんてほんの一握りで、でもみんなその“一握り”になりたくて頑張っている。
ユカ様も王子も、あたしも。
あたしはそんな“一握り”に、あの俺様魔王に振り向いてもらうことができるだろうか。
「あー、キツいー・・・・」
辛いのは王子のほうなんだから王子の前では絶対に泣かない、そう決めて話しをしに来たけど。
これ、ギリギリセーフって思ってもいいかな。ていうかセーフじゃないと困るな。
だって、泣くところを見せられないのはあたしも同じだから。