36.8℃の微熱。
それからしばらくして、どうにか涙を目の奥に押し込めた頃。
ブー、ブー、ブー・・・・。
あたしの携帯が震えた。
「はい?」
『あたし。ユカだけど、あのー、5時間目はどうする?』
出るとそれはユカ様からの電話。
心配して電話をくれたみたいで、事が事だけに、どことなくぎこちない聞き方で聞いてきた。
時間の感覚なんて全然なかったけれど、ユカ様がそう言ったということは、昼休みはどうやらまだ続いているらしい。
少し考えて、あたしは答える。
「・・・・出る。大丈夫」
王子にはどっちにしても辛いことに変わりはないけど、あたしがここで授業をサボったらもっと傷つけることになるんじゃないか。
そう思うから、出ると告げた。
『でも・・・・。浅野君から聞いたんだけど、茜ちゃん、具合悪いんじゃない? 休んだほうがさぁ』
「ううん、出る。具合悪くなったら、そのときはそのときよ。あたしなら風邪くらい平気。王子に比べたらどうってことない」
『そう?』
「うん」
ホント、王子は・・・・。