36.8℃の微熱。
 
ただのバカの塊みたいなあたしにどこまで真剣だったんだろう。

それを思うと胸が締めつけられて息苦しくなって・・・・あー、ダメ。

涙腺、決壊しそう。


『じゃあ、教室で待ってるね』

「あいぃ〜」


王子の変わらない優しさにまた込み上げた涙を押し留めるため、わざとふざけて返事をする。

心が雨模様ならせめて声だけでも晴れにしなきゃ、なんて変なところで強がってみたりして。

そうすることでしか、今のあたしには涙を止める方法がない。


『なによ、その気の抜けた声は』

「へへっ」

『もぅっ!けっこう元気じゃん!エセ王子め、嘘ついたな!?』


プツッ、ツーツー・・・・。

そう最後にちょっと怒った口調になって、ユカ様は電話を切った。


でもね、それはユカ様の強がりなんだって分かるんだ、あたし。

あたしが強がってふざけた返事をしたように、ユカ様も強がって怒ったフリをしているだけ。

王子もたぶんそう。

3人それぞれがいろんな思いを抱えながら、泣きたいのを我慢して強がっているだけなんだよね。
 

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