36.8℃の微熱。
 
と、そのとき───・・。


「井崎、あたしの席と交換してくんない? いろいろとオプションが付いてるけど、どうかな?」

「わわわっ!! 宇佐美すん!!」


心の中でユカ様に白旗を振っていると、なんとそのユカ様がもやしさんに席の交換を申し出てきた。

もやしさんはやはり、極度の緊張からなのか日本語がおかしなことになり、思いっきり仰け反る。

というかユカ様の顔もけっこう怖いから、そのせいもあると思う。


でも、そっかー・・・・もやしさんの名字は井崎っていうんだねぇ。

うん、メモメモ。


「ねぇ、どうなのよ井崎。愛しの萌香ちゃんと隣の席だよ? 話しかけるチャンス、いっぱいあるんじゃないかなぁ〜」

「えっ!! 本当ですか!!」

「うん♪」

「乗ります!! ぜひ乗ります!!」

「よしっ、行け!」

「ラジャー!!」


なんて心のメモ帳に情報を書き込んでいる間も、ユカ様と井崎君の会話は続き、交渉成立。

大きな三角形の図は、ものの数分で崩れることになった。

正直助かったけど、ユカ様なぜ?
 

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