36.8℃の微熱。
 
でもその疑問は、わざわざ声に出して聞くまでもないことだった。

自分の荷物を元・井崎君の席に持ってきたユカ様は、エヘと笑う。


「茜ちゃんを1人にはしておけないもん。辛かったねぇ・・・・。うまく隠してあげるから、泣きたかったら泣いていいよ?」


それはつまり、こういうこと。

その言葉が全てを物語っている。


「ふぇ・・・・」

「うんうん、その調子。なんてったって、ウチら“チェリー同盟”じゃん? いつでも一緒よ」

「・・・・うん。じゃあ、遠慮なく」

「うん」


幸いにも、くじ引きに物申すクラスメイトたちが続出している教室内は、あたしが泣いていることなんて誰も気づかない。

ガヤガヤ、ギャーギャー、よくもまぁこんなに騒げるもんだと泣きながら感心しちゃうほどで。

・・・・うん、けど、助かる。


「どう? 少しはスッキリ?」

「おかげさまで」

「そっかぁ、よかった」


やっと席替えが落ち着いた頃にはあたしの涙も止まって、いくぶんスッキリした気持ちになれた。

ありがとう、ユカ様。
 

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