36.8℃の微熱。
 
結局のところ、泣くもんかと強がってみてもダメだったけど。

今日のこの涙が、いつか笑い話にできる日が来たらいいなと思う。

ユカ様と王子と、あたしと・・・・。





「で、風邪の具合はどうなの? けっこう辛そうな顔してるけど、ホントに大丈夫なの?」


6時間目が始まるまでの休憩中、ユカ様が心配そうにあたしのおでこに手を当てた。

あたしは「うーん・・・・」と唸りながら、授業を聞かなきゃイケる!と教師泣かせの算段をつける。


あれ、でも待って。

そうだよ、そうそう。

さっきから気になっていたけど、なんで王子もユカ様もあたしが風邪を引いているって前提で話をしているんだろう。

言った覚え、ないのに。


図書館を出るとき王子は不思議なことを言っていたし、ユカ様も王子に何やら言ったみたいだし。

まるで、細田さんのお店の前であたしが先生を待っていたのを見ていたような・・・・あのときの王子の言い方はそんな言い方だった。


「ねぇユカ様、あたし、ちょっと分からないことがあるんだけど」

「んー?」
 

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