36.8℃の微熱。
 
かくかく、しかじか。

おでこから手を離して小首をかしげるユカ様に、図書館で王子が言ったことを話して聞かせる。

よく分からないんだよね、王子の言ったことが。


「まさか王子、あたしのあとをつけてた・・・・とかじゃないよね?」


と最後に冗談半分で聞いてみる。

するとユカ様は、少し難しい顔をしたあと「うーん、50点」と。

そして、あたしが“何が50点?”と疑問に思う間にガタンと椅子を鳴らして近づいた。


「浅野君のこと、ストーカーだとか思っちゃダメよ? それを勧めたのはあたしなの」

「え?」

「今日の浅野君、昨日までと全然態度が違ったでしょ? 言ったのよ、茜ちゃんの気持ちを自分の目で確かめてこいって」

「はぁ」

「2人とも辛い目に遇わせちゃったけど、このままズルズルはマズいもん。多少荒っぽくてもそのほうがいいと思ったの」


じゃあ、こういうこと?

王子にキッパリ諦めさせるためにユカ様が一肌脱いだって、そういう解釈でいいのかな?

だから、一緒に話しがしたいと言うあたしを先に帰らせた、と。
 

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