36.8℃の微熱。
 
ユカちゃんや浅野王子と楽しく過ごした1日を思い出して、なんとか堪え忍ぶあたし。

今のあたしの活力はこの2人だ。

魔王なんかに負けてたまるかっ!


ドヤドヤと生徒が出てくる中、あたしはじっと先生を待つ。

小中高、予備校生まで幅広い教育体制をとるこのマンモス塾ならではの光景に、少し懐かしくなる。

あたしも少し前まではあの中にいたんだなぁと思うと、なんとなく「頑張れ!」って心の中でエールを送りたくなるもの。

そしてあたしも頑張れ!


しばらくして人の波もようやく落ち着いた頃、最後に出てきたのは憎き魔王、片桐先生。

受付のお姉さんと二言三言何か話して、真っすぐあたしに向かって歩いてきた。

・・・・もちろん不敵な笑み全開で。


「やあ、江田ちゃん。思ったより早く来たね」

「そりゃどうも」

「申込書は?」

「ん!」


ずずずいっと先生に差し出す。

本当はこんなの、持ってきたくもなかったし書きたくもなかった。

でも、こうなったらヤケなのだ!

どーんとかかってこい、魔王め!!
 

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