36.8℃の微熱。
あたしの左隣の椅子に座り、申込書をまじまじと確認する先生。
無口なときはそれなりに見えるけど、ひとたび口を開けば憎たらしいことばっかり。
敵意むき出しで魔王の様子を窺うあたしは、きっと体中から負のオーラを出しているに違いない。
やがて申込書から目を離した先生は、ふっとあたしに目を向ける。
そして・・・・。
「よくできました!」
と、あたしの頭に手を置いた。
その仕草と思ってもみない優しい声に一瞬ドキッと心臓が跳ねる。
顔だって赤くなりそうだった。
でも・・・・。
「いだだだだだだっ!!」
いきなり力を込めて撫でるものだから、頭全体が揺れて、おまけに視界もグラグラ揺れた。
そうだ、片桐先生ってこういう人だったんだ!
『アメとムチ』・・・・自称そう呼ぶこれは、あたしには紛れもないイヤガラセというヤツで。
「江田ちゃん、江田ちゃん。前見てみ? すごいことになってる」
「そりゃなりますってば!」
「ぷぷっ。傑作〜!」
こんの、俺様魔王めがっ・・・・!!