36.8℃の微熱。
渋々ではあったけど、そう言って敬礼のポーズをとると、ユカ様も真似して「行って参る!」と。
今までに見たことがないくらいとびっきりの笑顔で言って、教室を飛び出していった。
「うまくいくよ。・・・・大丈夫」
弾むように廊下を走っていくユカ様を見送りながら、あたしはそう何度も小さくつぶやく。
ユカ様が角を曲がって姿が見えなくなると、あたしは鞄を持って塾へ向かう準備をした。
先生の言ったことは正しかった。
ユカ様にもう一度告白する決意をさせることで、1週間前の落ち込みようからは想像できないくらい元気になってくれて。
どうしようもなく非力な自分に腹が立つけど、あたしだけだったらここまでユカ様を元気にしてあげられる自信がないもん・・・・。
先生に相談して本当によかった。
───*。゚
いつもの居残りの時間。
その時間になってもユカ様からの報告は入らず、あたしはずっと携帯を握りしめたままだった。
「俺の授業なんかより携帯のほうが今日の江田ちゃんには重要ってワケか? 没収!」