36.8℃の微熱。
 
「いらっしゃい、茜ちゃん!柊から聞いたよ〜、この間の雨の日、店の前にいたんだって? ごめんな、気づかなくて」

「あ、いえ、とんでもない・・・・」


お店ののれんをくぐると、初めて会ったときより少し体格がよくなった細田さんが出迎えてくれた。

確か半年近く前だったと思うんだけど、なにしろ第一印象から強烈な人で・・・・半年も経てば忘れたっておかしくないのに、今でもはっきり覚えているんだよね。

で、その頃より体が丸い気が。

そんなことを思っていると、いらっしゃいと言ってもらえなかったことが気に入らない様子の先生はツカツカとカウンターに近づき。


「おい、ブタ!」


と、細田さんを豚呼ばわり。

しかも・・・・。


「俺にはあいさつもなしなのか? わざわざ来てやったんだ、とっとともてなせ!」


と、どこのジャイアンだよ!と思わずツッコミたくなるほどの俺様ぶりを発揮した。


「はいはい、柊は相変わらずの俺様だね〜。何にする? いつものヤツでいいか?」

「それで頼む。あとチャーハン」

「あいよ〜!」
 

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