36.8℃の微熱。
 
そのあとはもうお約束で、先生には「だいたいにしてなぁ!」とお説教をされるわ、細田さんにはブヒブヒ笑われるわで・・・・。

かなり肩身の狭い思いをすることになってしまったあたし。

お説教の最後に“もう二度といきなり手は離しません”と先生と約束までさせられてしまった。

ドンマイ、あたし。


「細田、なんだか騒がしくして悪かったな。じゃあ俺らはそろそろ帰るわ。近いうちにまた来る」


それから少しして、先生がそう言って椅子から立ち上がった。

それを見て、あたしはサッと鞄を開けて財布を取り出し、すぐにお金を払えるよう準備をする。

ちょっとでも挽回せねば!

すると、その気持ちを汲み取ってくれたのか、はたまた準備がいいあたしに気をよくしたのか。

先生はニッと笑って。


「それじゃあ俺は店の前まで車回してくるから、あとは頼むな」


と、近くのパーキングに停めた黒丸を取りに先に店を出ていった。

細田さんのお店って、大通りに面しているからお店専用の駐車場が確保できないんだよね。

先生が店を出たのはそのためだ。
 

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