36.8℃の微熱。
 
「あれ、今日は茜ちゃんのおごりなんだね。大丈夫? あとでお小遣い足りなくならない?」


あたしたちのやり取りを黙って見ていた細田さんだったけど、女子高生にお金を出させるのはさすがに気が引けたらしく。

先生がお店を出てすぐに、心配して聞いてくれた。


「あ、いえ・・・・。そんなにお小遣いも使わないし、実はこれ、先生との約束なんです」


そう答えながら、伝票を細田さんに渡してお会計をしてもらう。

今日はお財布に3千円入れてきたから、チャーハンという予想外の出費も難なくカバーできる。

多めに入れといてよかった〜。


「約束って・・・・ああ、パグの?」

「え、ご存知なんですか?」

「そりゃあね。柊から“江田ちゃんちのパグが迷子になったからお前も探せ!”って電話も来たし、何しろ店の前にいたからね〜」

「はは。その節はどうも・・・・」


思い出すなぁ。

先生が撮った、ヨダレを垂らして店の前に座るあんこの写メ。

そのときほど飼い主として恥ずかしいと思ったことはないけど、あれはある意味、傑作だよねぇ。
 

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