36.8℃の微熱。
 
「おっはよ〜浅野君!幸せ分けてあげるからあたしの話聞いて!」


教室に入ると、さっそくユカ様は王子のところへ出向いて、読んでいた文庫本を奪い取った。

もちろん王子はビックリ。

文庫本を読んでいたときの姿勢のまま2〜3秒固まって、それからユカ様に目を向け。


「・・・・え、あ、うん」


と。

か細い声で答えていた。

あたしはまだ王子の近くに行くには少し抵抗があって、自分の席でその様子を見ていたんだけど。

なるほど。


「実はあたしサトルの彼女になったの!どう? 幸せになれた?」

「な、なんとなく・・・・」

「なんとなくじゃダメよ、しっかり受け取って幸せな気分になりなさい!せっかく分けてあげてんだからムダにしないのっ!」

「は、はぁ」


・・・・王子に「おっはよ〜」と声をかけたときの台詞も、普段のユカ様の言動からも薄々感じてはいたけど、俺様ならぬあたし様。

俺様魔王の先生と似た部分を持つ人間なのだと痛感させられた。

ユカ様、よーく見て。

王子はどん引きしていますよ。
 

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