36.8℃の微熱。
 
注入、ねぇ・・・・。

そんなさ、ロボットにエネルギーを注入するんだよ!みたいに言われてもちょっと困ってしまう。

上手くいくものなのかしら。


「・・・・あれ、信用できない?」

「そういうワケじゃ、ないけど」

「じゃあ試してみようよ。ほら、言ってみて。正直に話すほうに協力するって言ったじゃん、少しくらい協力させてよ」

「う、うん・・・・じゃあ、言う」

「それでいい」


こうして、半ば強引な形ではあるけれど王子が言う“勇気を注入”するぶんの余裕を作るため、不安を打ち明けることにしたあたし。

やっぱり王子は先生に似てきた、と思いながら胸の内を話した。


いつも一緒にいたユカ様がなんだか遠くに離れていくみたいで、幸せそうで嬉しいけど、逆に寂しくも感じていること。

本当のわけを話したとき、裏切られた気持ちにさせてしまうんじゃないか、嫌われちゃうんじゃないか・・・・と、それが怖いこと。

そして一番怖いのは、ユカ様があたしの口からじゃなく“他人”の口からそのことを聞くこと。

これほど怖いことはない。
 

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