36.8℃の微熱。
 
「あとは? もうない?」

「うん、もう大丈夫」


そうして話し終わると、不思議と胸の中がスッキリしていた。

大丈夫なのか? と半信半疑のまま王子に聞いてもらったけど、悪いことしちゃったな・・・・。


「そう。ならよかった。じゃあ、あとは勇気を注入するだけだね」

「早いとこ注入しなきゃだ!」


笑って言うと、王子もにっこり笑って「だね」と言ってくれた。

あたしは、今まで“勇気”は自分の中から奮い立たせるものだとばかり思っていたんだ。

でも、注入することもできるんだって教えてもらって、今度こそ迷いが吹っ切れたように思う。

王子に大感謝だ!!


すると・・・・ガタッ!

何を思ったのか、いきなり席を立って店を出る準備を始めた王子。

その様子をしばしポケッと見ていると、早く!と腕を引っ張り上げられ、あたしも席を立つことに。

およよ、なぜ急ぐ?


「何つっ立ってんの。そうと決まれば今すぐ注入しないと!」

「・・・・え。え?」

「ホント分かんないヤツだな。それができるの先生だろ」
 

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