36.8℃の微熱。
あ、あっ───・・!!
そこまで言わせるなよ、という心の声が聞こえてくるようだった。
髪の毛をクシャッして、そのまま仏頂面を決め込む王子はきっとあたしにこう言っている。
先生に会いに行け、って・・・・。
「ありがとう、浅野君」
あたしはそれ以外の言葉を見つけられなくて、言うとすぐに鞄を持ってマックをあとにした。
胸の中に込み上げてくる酸っぱい感情を振り払いたくて、先生の部屋までの道のりをひたすら走る。
けれど。
数百メートル走ったところで、どうしても立ち止まってしまった。
面と向かって言うときっと王子は怒るだろうから、ワガママだけどここで言わせてほしい。
「ゴメンね・・・・王子」
そう呟くように言って、あたしはまた先生の部屋へ走りだした。
ピンポーン。
それから20分後、先生の部屋の前まで来たあたしは、少し震える指先でインターホンを押した。
心臓が激しくドキドキしているのはここまで走ってきたからだけじゃなくて、先生のプライベートに足を踏み入れるからだ。