36.8℃の微熱。
 
「うぅーっ、緊張するー」


ドアの向こうから何かしらの反応が返ってくるまでの間も、胸のドキドキが治まることはない。

というか、その“待つ”行為がかえってドキドキを倍増させているようで、全身が痺れるような感覚があたしを襲っていた。


すると───ガチャリ。

内側から鍵を外す音が!!


「ああああ、あのっ、先生?」

「はっ!? 江田ちゃん!?」

「えへへ、どうも〜・・・・」


そうして、先生のプライベートにとうとう足を踏み入れたあたし。

ドアを30センチほど開けたまま目を丸くする先生は、明らかに1分前まで寝ていました的な格好。

寝癖でボサボサの頭に、少し腫れぼったい顔、ちょびっとヒゲも伸びていて、完全にオフの姿。

着ている服も、相当着ている感がある上下グレーのスエットで。


「ゴメン、寝るわ」

「えっ!? ちょっと待って!!」

「寝るわ」

「だから待ってって!!」


そしてとても言葉少なげだった。

・・・・てかドア閉めないで!! 挟まってるから!! あたしっ!!
 

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