36.8℃の微熱。
また寝られては困るあたしは、ドアの隙間になんとか体を滑り込ませて阻止したのだけど。
それがまた、痛いのなんの・・・・。
大声で痛い痛い!と訴えて、寝ぼけている先生にどうにかドアを閉める力を弱めてもらった。
そうすると、すごく面倒くさそうに髪の毛をグシャッとして、最大級のため息をついた先生。
「なに」
と抑揚のない声で聞いてきた。
攻防戦はあたしの勝利だ!
「単刀直入に言います、あたしに勇気を注入してくださいっ!!」
お願いします!と頭を下げる。
けれど先生はそれはもうしごく当然の反応で、何を言っているんだとさらに大きなため息をつく。
・・・・そりゃそうだ。
寝ているところを起こされて、その相手があたしで、無理やりドアの隙間に体を突っ込んで。
もう一眠りを阻止された挙げ句に言われたのは意味不明なコト。
だけど、王子にまた辛い思いをさせてまでもここまで来たあたしにだって譲れないものがある。
大きく息を吸って・・・・。
1、2の3っ!!
「注入ーっ!!」