36.8℃の微熱。
「・・・・ホントに本気?」
からかわれること数知れず、だから今回もタチの悪い冗談であたしをからかっているんじゃないか。
今までの経験上から、本当にキスをしたいと思っているのかどうか最後に念を押して聞いてみる。
そうすると、先生はただニッと笑ってあたしの背中に回していた腕を解き、顔を両手で包み込む。
そこでようやくあたしは気づく。
ああ、本気だ・・・・って。
だって、好きな相手にここまでされてもまだ疑うなんて大バカだ。
唇を親指で優しくなぞる先生に促されて、そっと目を閉じる。
やっと、やっと・・・・。
先生があたしを受け止めてくれたんだ、受け入れてくれるんだ。
ありがとう、先生。
あたし、頑張ってよかった。
幸せです───・・。
けれど。
本当にあと少しで唇が重なるかというところで、なぜか先生の動きが止まる気配がした。
そして、キスの代わりに先生の唇が紡いだのはこんな言葉。
「ゴメン江田ちゃん、帰って。やっぱ俺、できない。頭打ってどうかしてたみたいだ」