36.8℃の微熱。
 
その言葉にあたしは猛烈に恥ずかしくなって、同時に悔しさと怒りが込み上げて・・・・パチンッ!!

気づけば、先生の左頬を思いっきり平手打ちしていた。


「バカにしないでよっ!!」


涙をポロポロ流しながら言った言葉は、自分でもはっきりと分かるくらいに震えていて。

玄関先に響いたその声も、きっと先生の胸には届くことはなくて。

部屋の壁に、床に、ただ虚しく吸い込まれていくだけだった。


「先生のおっしゃる通りに!!」


そう言って、あたしは倒れたときに手放した鞄を引っつかんで、逃げるように部屋を出た。

もう、頭の中も心の中もワケが分からなくてグッチャグチャだ。


先生はあたしのことをどう思っているんだろう? あたしは一体、先生の何なんだろう?

・・・・分からない。

だから知りたかった、だから先生のキスでそれを感じたかったの。

あたしは先生にどんなふうに思われていて、先生の何なのか・・・・。





来るときとは違って鉛のように重たい足は、あたしをなかなか家へと連れ帰ってはくれなかった。
 

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