36.8℃の微熱。
キュッと下唇を噛んで、押し寄せてくる胸の痛みに耐える。
あたしの行動がユカ様に誤解を生ませて、それで王子が苦しんで。
先生に対しても同じこと、あたしが行き過ぎたことをしたから、きっと罰が当たったんだ。
「なぁ、茜・・・・何考えてる?」
「え?」
聞かれて、ハッと顔を上げる。
あたし今、何を考えていた?
「目、泣き腫らした目だよね」
「・・・・」
「何かあったのは分かる、だからって変なことは考えんな。酷なこと言うようだけど、茜が迷うとみんな迷う。だから、な?」
「・・・・うん、分かってる」
今日も王子は鋭いなぁ。
あたしの気持ちの先を読んで、間違った方向へ進みそうなところをうまく軌道修正してくれる。
それがどういうところから来るものなのか、いくら鈍感なあたしだって感じていないわけじゃない。
でも聞かない、聞いてはダメ。
「じゃあ宇佐美さんトコ戻りな。そろそろバンビが来る頃だよ」
「うん」
そうしてあたしは王子に背中を押されてユカ様のところへ戻った。