36.8℃の微熱。
 
その直後、バンビがのん気にあくびをしながら教室に入ってきて、大きなしこりが残ったままホームルームが始まってしまった。

この日。

ユカ様とあたしは、それから一言も言葉を交わすことはなかった。

何度も声をかけようとしたけど、そのたびにユカ様は違う友だちのところへ行ってしまって。

「待って!」と引き止めようにも放つオーラがそれを許さず。

王子もまた、どうしたらいいか分からない様子で・・・・あたしたち3人は重苦しい空気の中で1日を過ごすことになった。





それは塾でも同じだった。

昨日の夜は“どんな顔をして会ったらいいの?”と思ったけど、どうしても足が向いてしまった塾。

無視されるかもしれない、口をきいてくれないかもしれない、だけどやっぱり会いたくて・・・・。

学校でのこともあって、心が余計に先生の存在を欲していた。


けれど、あたしの前に突き付けられたのは思いがけない現実。

先生からのサヨナラだった。


「片桐先生から頼まれたの。今日から私が江田さんの数学を見ることになったから。よろしくね」
 

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