36.8℃の微熱。
先生の授業が終わって、いよいよ次は居残りの時間。
いつもだったら、片桐クラスの子たちが帰ってからだいたい10分、それくらいで先生はまた教室に戻ってくるのだけど・・・・。
少し遅れて入ってきたのは、ほとんど面識がない女性の先生。
「片桐先生から課題は預かっているから、いつもやってるみたいに問題を解いてみてね」
「あ、はい・・・・」
と、あいさつもそこそこに、あたしの前にヒラリ、先生から預かったという課題を置いた。
大学を出たばかりなのか、先生より少し若いか同じくらいの歳に見えるその先生は、口調こそ柔らかいものの目はどこか冷たい。
出来の悪い生徒を押しつけられて迷惑しているのか、それともほかに思うところがあるのか。
問題に目を落としていても、その視線をひしひしと感じた。
「そういえば・・・・ねぇ江田さん、あなた知ってる? 今、私たち講師の間で噂になってるコトがあるんだけど。どうかな?」
それからしばらくして、その女の先生は「そういえば」とわざとらしい口調で聞いてきた。
・・・・噂? なんだろう。