36.8℃の微熱。
「どうかな、って・・・・。先生たちの間で噂されてることを生徒が知るワケないじゃないですか」
少し嫌な予感はした。
でも、この人には動揺を見せてはいけないと感じたあたしは、問題に目を落としたままそう答える。
すると、彼女は「優等生ね」と。
鼻で笑うように言って、あたしの机にコツン・・・・肘をついた。
今日はただでさえ落ち込んでいるというのに、居残りには急にこの人が来て、いつも先生が座る席に我が物顔で座ったりして。
それに、冷たい視線や、口を開くたびにチクチク刺してくる言葉の数々にますます落ち込んでくる。
『そこは先生が座る席なの、あたしの机から離れて』───言いたかったけど、言えなかった。
「・・・・」
「じゃあそんな優等生の江田さんに教えてあげる。聞いておいて損はない話よ、後学のためにもね」
あたしの返事がないのを“聞く”という意味に捉えた彼女は、そう前置きをして話しだした。
鼻を突く甘ったるい匂いを振りまきながら、いつも先生が座る席に我が物顔で座り、相変わらずあたしの机の上に肘をついて。