36.8℃の微熱。
 
もしかしなくても、彼女はあたしにそれを言うために今日の居残りを買って出たんだ・・・・何かもっともらしい理由をつけて。

だって先生は秘密主義。

きっと何も言わず距離を取って、あたしの気持ちが自然に冷めるのを待つだけだと思う。

魔女と例える以外にどう例えたらいいというの、この人を。


「ちなみに・・・・」

「なぁに?」

「ちなみに、そのネズミがすごく聞き分けが悪かった場合、先生はどうするでしょうか」


先生の立場が危ないというのに、この期に及んでまだ諦める決心がつかないあたし。

諦めなくてもいい方法、先生を守れる方法がどこかにあるかもしれない・・・・どうしてもその希望を捨てることはできなくて。

聞かずにはいられなかった。

彼女の言うことの逆を突くんだ、そうすれば、あるいは───・・。


けれど。

今までになく冷たい視線とともに返ってきたのは、こんな言葉。


「あなたって子は・・・・。よっぽどネズミが大事なのね、片桐先生よりネズミ? 自分のことしか考えられないネズミには答える価値なんてないわ」
 

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