３６．８℃の微熱。

　
それがキッカケで、次の日からはあいさつをするようになり、その次の日はおばあちゃんから手作りだという巾着袋を頂いた。

おじいちゃんはおじいちゃんで、「ワシの嫁にならんか」と冗談めかして言って、おばあちゃんにペシッと腕を叩かれたり････。

みるみるうちに仲良くなった。


11月も後半に入りめっきり寒くなると、おばあちゃんはあたしのためにマフラーを編んでくれて。

なんと手袋まで頂いてしまった。

今しているマフラーや手袋は、そんなおばあちゃんからの頂き物。

これを身につけているとすごく温かい気持ちになれて、今日も頑張ろう！って自然に思えるんだ。


「いってらっしゃい！息子さんが早く良くなるようにあたしも願ってます！お気をつけて！」

「お前さんもな」

「ありがとう。また明日ね」

「はい！」


ご夫婦はあたしが降りる駅の２つ前で仲良く手をつないで降りる。

通勤・通学で人の行き来が激しいホームを、ゆっくりゆっくり････お互いを支え合うように手を取り合い、歩いていく。

その姿は、涙が出るほど美しい。