36.8℃の微熱。
 
女の子は誰だって、かわいいものやキラキラしたものが大好き。

その中でもユカ様は人一倍そういうものが好きな子だから・・・・萌香ちゃんは、ユカ様に聞こえるようにわざと大きな声であたしのマフラーを話題にしてくれるんだ。

“ありがとう”って何度言っても足りないくらい感謝している。


「いつもありがと、萌香ちゃん」

「何言ってるの、わたしのはただのお節介だよ。でもホント、このマフラーいいなぁ〜」

「へへっ。元気の源!」


そう言って、自分の席に向かう。

こんなによくしてくれる萌香ちゃんには心苦しいのだけど・・・・。

おばあちゃんから頂いたこの手編みのマフラーのことは、一番にユカ様に報告したいから。

だから、ごめんだけど、もうしばらくは秘密のままでいさせてね。


ガタッ・・・・。

椅子を引いて席に着く。


「おはよう、ユカ様」

「・・・・うん」


相変わらず目は合わせてもらえないけれど、ここ最近の嬉しい出来事は、こんなふうに返事が返ってくるようになったこと。

マフラーを頂いてからだ。
 

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