36.8℃の微熱。
 
それまでは、なかなか勇気が出なくて声もかけられなかったり、声をかけても曖昧にかわされたり。

そんな感じだったから、ほかの人には小さなことでもあたしにとってはすごく大きな1歩になった。


ユカ様だって、きっとあたしと気持ちは同じはずなんだ。

仲直りしたい。

だけど、自分ではどうしたらいいか分からなくて、胸にモヤモヤを抱えて・・・・だから曖昧な感じになってしまったんだと思う。


だって、あたしは知っている。

ユカ様はすごく意地っぱりで、あたしと同じくらいかそれ以上で。

萌香ちゃんと一緒にいると、ときどき背中にふと視線を感じるの。

寂しそうなユカ様の視線を。


「今日も寒いね。ユカ様は風邪とか平気? あたしはもう〜鼻水が出まくりでさぁ。へへっ」

「・・・・うん」

「ユカ様も気をつけてね」

「・・・・うん」


だから、こうして返事をしてもらえるだけで嬉しいんだ、あたし。

先生への恋は一方通行で終わってしまったけど、ユカ様とはそうじゃない感じがたまらなく。

おばあちゃん、ありがとう。
 

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