36.8℃の微熱。
 
「こういうの慣れてなくてさ、全然分かんないんだよ。もうすぐでしょ? ・・・・クリスマス」

「あぁ、そういえば」

「うん、まぁ、そういうコト」


そっか。

サトルさん・・・・ユカ様のクリスマスプレゼントを選ぶために今日あたしを誘ったんだ。

あたしならユカ様が喜びそうなものを選ぶことができる、きっとそう思っているんだろう。


「なんだ、それならそうと早く言ってくださいよ。デートなんて言うから、あたしてっきり・・・・」

「いや、だってさ、まだ仲直りできてないんだろ? 正直に言ったら茜ちゃん、つき合ってくれないんじゃないかと思って」


気まずそうにサトルさんは言う。

けど、あたしは首を横に振る。


「そんなことないですよ。誘ってくれて嬉しいです」

「・・・・そう?」

「はい」


だってそうだよ。

嬉しくないはずがない。

サトルさんも、王子と2人でここにいたときのことはユカ様と見ていたから知っている。

それなのに・・・・。

ヤバイ、泣きそう。

鼻の奥がツーンと痛い。
 

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