36.8℃の微熱。
「じゃあ、とりあえずは腹ごしらえからね。実は昼飯食い逃しちゃってさ〜。腹ペコだったんだ」
「はい!」
お腹をさすりながら笑うサトルさんに、あたしもズビッと鼻をすすって笑顔を返す。
これでやっと納得だ。
ユカ様のためなら、塾だって学校だっていくらでもサボれちゃう。
「裏の駐輪場にバイクを停めたらすぐに行く」と言うサトルさんに頷き、あたしは先に店へ入る。
なかなかクリスマス気分にはなれなくて、今まではろくに見もしなかったけど・・・・なるほど。
店内にはあたしの身長と同じくらいのツリーがあって、赤や黄色の電球がチカチカ光っている。
さっそく何か注文をしようとカウンターへ行けば、レジの脇には小さなサンタクロースの置物。
世間はもう、クリスマス一色。
「・・・・さて、席は空いてるかな」
注文したホットココアを受け取って、2人ぶんの席を探す。
やはり放課後とあって、けっこう広めの店内でも高校生や大学生なんかが大半を占めている。
サトルさん、腹ペコだって言っていたし・・・・席あるかな。