36.8℃の微熱。
 
あたしは、ユカ様の携帯を胸の前でぎゅぅーっと抱きしめた。

サトルさんが今日あたしを誘った本当の目的は、ユカ様と仲直りをさせるためだったんだ・・・・。

それは心に染みる優しい嘘。

ユカ様のプレゼントを一緒に選ぶつもりが、いつの間にかあたしがプレゼントになっていたみたい。


「ユカ様ぁ!!」

「茜ちゃーん!!」

「「うわあああぁぁん・・・・!!」」


ユカ様もあたしも、一気に込み上げてくる涙には逆らえなかった。

テーブルの上できつく手を握りあって、人目もはばからず大声で泣いて・・・・でも泣きながら笑い合ったんだ、あたしたち。

嬉しさと、ホッとしたのと、サトルさんへの感謝の気持ちと。

言葉では言い表わせないほどのたくさんの感情が、涙となって次から次へとポタポタ落ちる。


「ユカ様に・・・・ヒック、聞いてもらいたい話がっ・・・・えっぐ、山ほどあるのっ!聞いてくれる?」

「バカっ。そんなの・・・・ううっ、当たり前じゃん!あたしが聞かなかったら誰が聞くのよっ!」

「へへっ、だよねぇ」

「うん!」
 

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