36.8℃の微熱。
 
すっかり冷めたココアをすする。

ユカ様も同じく、冷えてパサパサになったポテトをかじった。

“ありがとう”ってユカ様は言ってくれたけど、それは結果的にうまくいったからで、もし違う結果になっていたらと思うと・・・・。

胸がズキズキ痛い。


「でもさ、ユカ様には“サトルさんの気持ちは本人の口から聞かなきゃ分かんない”とか言っておいて、実はユカ様より先に知ってたんだよ? 矛盾だよ、こんなの」

「そう? 考えすぎじゃない?」

「そんなことないよ。本当はユカ様に元気になってもらいたかっただけ。なのにリベンジさせるなんて、先生もあたしもやっちゃいけなかったんだと思う。・・・・今さら後悔したところで遅いけど」


本当にそう。

後悔したところで遅いんだ。

全ての事の発端は、あたしが軽率な行動をしたからに他ならない。

ユカ様との友情が壊れかけたのも先生の立場を危ぶめたのも、王子やサトルさん・・・・ほかのみんなを巻き込んでしまったのも、元を辿ればあたしの行動からだった。


唇をキュッと噛む。

胸が押し潰されそうだ。
 

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