３６．８℃の微熱。

　
「だけどね、茜ちゃん」

「なに？」

「あたし思うの。周りから何を言われても、どんな目で見られても根っこの気持ちはそうそう変われないんじゃないかって」

「････それ、先生のコト？」


聞くと、ユカ様はうんと頷く。

確かに、今でもまだ胸の奥では先生への想いがくすぶっている。

熱が完全に下がっていない。

でも───･･。


「ダメよ。あたしだけ幸せだなんて、そんなの絶対許さない」

「そんな････」

「ダメなものはダメ。あたしは絶対認めない。茜ちゃんは人の気持ちを考えすぎるの。先生のため、あたしのため、サトルや浅野君のため････そればっかじゃん」


先生のことを思うならこのまま終わらせたほうがいい恋なの。

そう言おうと口を開いたら、先にユカ様に言われてしまった。


「自分を一番に考えなきゃ。なにも好きな気持ちまで押し込めることはないと思う。････だって、先生は大人でしょ？」

「え？」


すると、ニヤリ。

そう言ったユカ様は、なぜか不敵な笑みを浮かべてあたしを見る。