36.8℃の微熱。
 
───*。゚


「う〜ん、確かこの辺にしまったはずだったんだけど・・・・。どこ行っちゃったのかなぁ」


その夜。

あたしは机の引き出しを引っ掻き回して“ある物”を探していた。

湯ぶねにつかって「考えさせて」のことを悶々と考えていたとき、はたと思い出したんだ。

海の家を離れる日、マリアンヌさんからもらった手紙のことを。


「・・・・あっ!もしかして!」


探しはじめてから何分だろう、奥のほうでカサッと音がして、あたしはそれを引っぱり出す。

手に持っていたのはやはり、マリアンヌさんの趣味全開の、ピンクの花のプリントが入ったかわいらしい封筒・・・・うん、これだ。


「お願い、マリアンヌさん。もうあたし無理、限界、助けて・・・・」


祈るような気持ちで、封筒の裏に貼ってあるシールに指をかける。

今日まで封は切らずにきたけど、もう限界、頼りたい。

出口があるのかも分からない迷路をずっとさ迷い続けるのには、気力も体力も底をついてしまって。

頼れるのはもう、マリアンヌさんしか思いつかなかったんだ。
 

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